日本の仏教の中でも大きな勢力を持つ浄土真宗ですが、この宗派においては基本的に「枕団子」や「枕飯」「旅装束(白装束や杖など)」を用意しないという独特の教えがあります。浄土真宗の教義では、亡くなった人は阿弥陀如来の力(他力本願)によって、死後すぐに極楽浄土へ生まれ変わる(即得往生)とされており、三途の川を渡ったり、四十九日の旅をして裁きを受けたりする必要がないため、旅のお弁当である団子も必要ないという論理に基づいています。そのため、浄土真宗の門徒(信者)の家では、葬儀の際に枕飾りとして団子を作ったり供えたりすることは原則として行わず、代わりに仏壇に普段通りのお供え(ご飯や水、花)をし、阿弥陀如来への感謝の勤行(お経)を行います。しかし、実際には地域の慣習や親族の意向が優先されることも多く、「宗派としては不要だが、地域の風習として供える」「おばあちゃんが供えたいと言うから作る」といったケースも珍しくありませんし、お寺様(住職)もそれを厳しく咎めることは少なく、遺族の気持ちを尊重して黙認することが一般的です。もし、浄土真宗の葬儀で枕団子をどうするか迷った場合は、菩提寺の住職に相談するのが一番確実ですが、「供えてはいけない(マナー違反)」というわけではなく、「教義上は必要ない」というだけですので、故人のために何かしてあげたいという気持ちがあれば、形にとらわれずに供えてもバチが当たることはありません。大切なのは、形骸化した儀式を行うことではなく、その行為を通じて故人を偲び、阿弥陀様の救いを信じる心を持つことであり、団子があってもなくても、南無阿弥陀仏と手を合わせる姿こそが、真宗門徒としてのあるべき姿と言えるでしょう。