葬儀や通夜の際に故人の枕元に供える「枕団子(まくらだんご)」は、地域によっては「六地蔵」にちなんで六個供えたり、十三仏に合わせて十三個供えたりと数に違いはありますが、これは故人が死出の旅路でお腹を空かせないようにという「お弁当」の意味と、道中で現れるお地蔵様や仏様にお供えするための「手土産」としての意味が込められています。特に六個の団子を供える風習は「六道(地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天)」を巡る旅の安全を祈願するものであり、三途の川の渡し賃である「六文銭」と共に棺に納められることが多いのは、この世への未練を断ち切り、無事にあの世へ渡ってほしいという遺族の願いの表れです。枕団子は基本的に米粉(上新粉)で作られますが、これは古来より米が神聖な食物であり、生命力の象徴とされてきたことに由来しており、真っ白で穢れのない団子を作ることで、故人の魂を清めるという意味も含まれています。また、枕団子を作る行為そのものが、遺族にとっては最初の供養となり、悲しみの中で一つの作業に没頭することで心を落ち着かせ、死という現実を受け入れるための儀式的な役割も果たしています。最近では葬儀社が用意してくれることも増えましたが、やはり家族の手で粉を練り、丸めて茹で上げた団子は温もりが違いますし、故人が生前好きだったあんこやきな粉を添えてあげる(宗派や地域によりますが)といったアレンジを加えることで、よりパーソナルな供養が可能になります。枕団子は葬儀が終わるまで毎日作り替えるのが理想とされていますが、それが難しい場合は一度作ったものを供え続け、硬くなったら蒸し直すか、半紙に包んで棺に入れるなど、最後まで粗末に扱わないことが大切です。この小さな白い団子には、旅立つ人への尽きせぬ愛情と、どうか安らかにという切なる祈りが凝縮されているのです。